◆特定社会保険労務士とは
特定社会保険労務士とは、司法制度改革の流れで導入された労働トラブルのADR代理権を持つ社会保険労務士をいいます。
特定社会保険労務士は“あっせん代理”をすることができ、当事者に代わってトラブル解決に係わることができます。
◆確実に増加している“労使トラブル”
| | H14 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | H20 | H20の内福岡県 |
| 総合労働相談件数 | 625,432 | 734,257 | 823,864 | 907,869 | 946,012 | 997,237 | 1,075,021 | 42,677 (3.97%) |
民事上の個別労働紛争相談件数 | 103,167 | 140,822 | 160,166 | 176,429 | 187,387 | 147,904 | 236,993 | 11,491 (4.85%) |
助言・指導申出受付件数 | 2,352 | 4,347 | 5,287 | 6,369 | 5,761 | 6,652 | 7,592 | 123 (1.62%) |
あっせん申請受理件数 | 3,036 | 5,352 | 6,014 | 6,888 | 6,924 | 7,146 | 8.457 | 223 (2.64%) |
●労働関係民事通常訴訟事件の新受件数・・・2,441件(H19年は2,246件)
●労働審判事件の新受件数・・・2,052件(H19年は1,494件)
平成20年は、派遣切りや期間途中の契約解除等が行われたという背景がありますが、それを差し引いたとしても、どの項目についても件数は増加しています。
推移を見てみましょう。
明らかに右肩のぼりですね。
民事上の個別労働紛争相談件数の内訳、つまり、どのような内容の相談があったかは次の通りです。
『助言・指導申出受付件数』や『あっせん申請受理件数』の内容についても、似たり寄ったりです。
トラブルにまつわるキーワードを、グーグルで検索してみました。
解雇(791万件)、解雇トラブル(100万件)、サービス残業相談(91万件)
サービス残業対策(87.8万件)、サービス残業(80.9万件)、不当労働行為(31.2万件)
良し悪し(正確・不正確)は別にして、あらゆる情報がWeb上で簡単に入手することが出来ます。
全国の労働者数は約5,000万人。
5,000万人の内の約95万人が何らかの相談をしています。全体の約1.9%です。
これを多いと見るか少ないと見るかは自由ですが、トラブルが発生した時に対処できるような体制・制度・仕組みを持っておかないと、多額の出費と労力、そして本業とは全く関係ない時間が奪われます。
◆ADR(裁判外紛争解決手続)とは
労使関係トラブルを解決するには、従来は“裁判”に委ねるしか手はありませんでした。
しかし、裁判となると前述したように、長い時間と多額の出費を覚悟しなければなません。このような状態では、労使双方共に精神的にも資金的にも疲弊してしまいます。
トラブルが未解決のまま、もやもやした状態のままでは良好な関係を保つことができないため、裁判をせずに“話し合い”によってトラブルを解決しようという制度があります。これがADRと呼ばれる制度です。
◆特定社会保険労務士の仕事
以下のADRにおける裁判になる前の紛争(裁判外紛争)につき、あっせん代理人として最良の方法で解決に臨み、裁判によらない円満解決を実現することができます(紛争解決手続代理業務)。
・個別労働関係紛争解決促進法に基づき、都道府県労働局が行うあっせんの手続代理
・個別労働関係紛争について、都道府県労働委員会が行う調停手続の代理
・男女雇用機会均等法に基づき、都道府県労働局が行う調停手続の代理
・個別労働関係紛争について、厚生労働大臣が指定する団体が行う民間紛争解決手続の代理
(紛争額が60万円超の事件は弁護士との共同受任)
※上記手続業務には、依頼者の紛争の相手方との和解のための交渉、和解契約の締結の代理を含みます。
◆社会保険労務士には守秘義務があります
社会保険労務士には、社会保険労務士法により罰則付きで秘密を守ることが義務付けられています。
安心してご相談下さい。
◆第21条(秘密を守る義務)
開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員でなくなった後においても、また同様とする。
◆第27条の2(開業社会保険労務士の使用人等の秘密を守る義務)
開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の使用人その他の従業者でなくなった後においても、また同様とする。
◆第32条の2(罰則)
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2.第21条又は第27条の2の規定に違反した者
トラブルはないに越したことはありません。
『トラブルを生まない社風作り』 と 『法令遵守の体制・運用』が前提であることは言うまでもありません。
しかし、意図せずにトラブルが発生したら、何らかの対処をしなければなりません。