企業風土の本質は『信頼関係の構築』、人事制度の本質は『社員の成長と業績向上』、就業規則の本質は『企業防衛』にあります。
信頼関係が形成されており、上司や先輩社員の指導・対話という常に接触のある状態であれば、就業規則は不要です(法令で定められていますのでどうしても必要なのですが)。
そういった波風の立ちようがない風土でありながらも、「絶対にトラブルは発生しない」とは言い切れません。それは、どんなに仲の良い友人であっても、「たまには言い争いになったりすることもある。」という感覚と似ています。
ボタンの掛けちがい程度のトラブルならば、大したことはありません、しかし、法律論と契約論にまで問題がこじれると、以下のような根拠を示さねばなりません。
・就業規則に○○の記載がある
・その内容は知らせてある
・差別なくその内容通りに運用していた事実がある
・だから就業規則に基づいて処分を行った
これらのことは、判例法理から導き出されたものであり、労働契約法でも示されてもいます。もちろん、これだけで済むもののではなく、状況により他の根拠を示す必要もあります。
【就業規則の姿】

例えば、以下のような記載の就業規則があったとしましょう。
第〇条(採用者の提出書類)
採用が決定した者は、○○の書類を提出しなければならない。
第〇条(特別休暇)
社員が○○の事由に該当した時は、社員の申し出により特別休暇として休暇を与える。
・本人の結婚…5日間
・親族の死亡…3日間
どこの会社にもある規定だと思います。平たく言うと、「出しなさい」、「申し出たら与えます」という規定です。このこと自体に問題はありませんが、「いつまでに」ということの方が重要です。
提出期限は、“うっかりして忘れた”ということは人間ですからあり得ることですが、入社して間もないにも関わらず期限を守れない社員は御社が望む社員でしょうか?
また、○○の資格や免許を持っていることに重点を置いて採用したのであれば、資格証や免許証の確認は当然でしょう。
仮に、免停中に社用車を運転して事故でも起されたら・・・、資格保有者と思っていたら実は無資格者で、業務中に事故が発生したら・・・その後の補償や責任問題等を考えただけでも恐いことです。
特別休暇についても期限の定めは重要です。上記の規定のままでは、結婚して10年後に特別休暇を請求するのも可能です。
そんなつもりはないはずなのに・・・ トラブルを未然に防ぐ視点が大切です。
≪就業規則の重要度は増しています≫
労働契約法の施行により、就業規則の位置づけが重要になって参りました。
労働契約法のどこにその根拠があるのでしょうか。
労働契約法第7条
⇒就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は就業規則で定める労働条件による。
この条文により、企業としては就業規則の内容について、具体的な対策を取らざるを得なくなっています。
何故、対策を取らなければならないのでしょうか。
それは、多くの場合、就業規則が“自社独自のオリジナルではない”ケースがあるからです。
書店やネット上で、雛形や例文の情報が氾濫しています。就業規則の作成や変更時に参考にするのは間違いではありませんが、“雛形はあくまでも雛形”でしかありません。
つまり、“会社の事情を全く考慮していないものだ” ということです。
法律に定められていることについては、会社の事情は無関係ですが。
しかし、雛形や例文は、何が法律で何が法律でないのか必ずしも明確ではありません。つまり、法律でないことを法律のように記載していて、誤解を招いているのです。
弊事務所でも、「労基法で決まっていることかと思っていた。」というご意見を伺うこともしばしばです。
雛形はもっともらしい表現・内容です。そして、格式ばった、“いかにも法律”の如く記載されています。
スーッと目を通しただけでは、「何が法律なのか、何が悪いのか、会社の事情に合うのか。」という視点にはたどり着けません。
【困惑のスパイラル】

労働契約法第7条に 「労働契約の内容は就業規則の内容」 とはっきり謳っています。
このことから、会社の事情を考慮していない、今、現実にあるその就業規則の内容そのものが、皆様方の社員と結んでいる契約(約束)です。約束を破ると誰でも怒ります。金銭絡みならなお更です。
「そんなつもりではなかった。」 しかし、対応に怒った社員が合同労組に駆け込むこともあります。そうなると、仕事どころではありません。
整備を行わなければならない理由は、こういったことにあります。
個別労働関係の紛争は、年々増加しています。減少傾向には“全く”ありません(トラブルの傾向はコチラ)。
多くの企業が“足を引っ張られている”現実を、認識しなければなりません。
厄介な社員が出るのは何故?⇒⇒⇒